インプラント 価格のこれからの目標

統計にもよるが、ここ数年でバイオの創薬というのが、12分の1以上になるという話もあるのだ。
薬剤以外の消費財、たとえば自動車やテレビなどは別に日本独自のものでなくても、日本人はそれほど困らない。 ところが薬剤の場合は、7割か8割ぐらいはグローバルなものでも問題はないが、やはり2割か3割ぐらいは日本人に合った独自のものが必要なのである。

国内の製薬メーカーの使命アメリカ人と日本人では人種差があるし、日本人と中国人の問にも人種差がある。 そのため、世界共通に同じ形で開発できない薬剤も相当数あり得る。
今回たとえばがんの薬剤がいい例だ。 日本で最も多いのは胃がんだが、アメリカでは大腸がんが特に多い。
現金なもので、アメリカの製薬会社は世界一の市場であるアメリカ人に多い疾患の治療薬の開発には熱心だが、日本に多い病気の薬剤にはあまり力を入れない。 その弊害をなくすには、日本が最大の消費国となることが早道だ。
日本が世界一薬剤を消費して、剤開発にはまず日本の市場をみよ、となることだが、それは望むべくもないし、実際その必要もない。 これは私がある外資系の製薬メーカー在籍中に経験したことだが、外資系メーカーは、日本である程度売れそうでも、世界的に売れる見込みがないと薬剤を開発しない。
日本だけで売れるものには目が向かないのだ。 莫大な研究開発投資を回収するにはやむを得ないことではあるが、薬剤は全世界の人のためのものだということからすると、矛盾は隠せない。
ただ、製薬メーカーは現在全部、営利企業である。 株主の利益を追求するという観点からみると、日本人のためだけに、いいかえれば狭い市場のためだけに行動していたら株主から批判されてしまう。

そこで、日本独自の薬剤もある程度は必要なのだとすると、日本の製薬メーカーというのは絶対に必要である。 かといって、そのメーカーが世界の16%の市場である日本だけで仕事をしていたら、新しい薬剤を開発できるような利益は得られない。
やはり日本発の強い製薬メーカーが現れて、グローバルな薬剤も何本か持っている必要がある。 そういう国内メーカーがないと先々厳しい問題が出てくるのではないか。
最近伸びている製薬会社は、国外で多くの収益をあげている。 その意味で海外からの資金を利用して日本で研究開発をする費用を見込めばいいという考え方ももちろんあるが、そうはいっても、ここ10年ぐらいずっと国内の薬剤市場が横ばいというのは少し疑問である。
そうなった原因には薬価の決め方の問題がある。 薬剤の値段である薬価は中医協(中央社会保険医療協議会)が決めており、たくさん売れると薬価を下げたりする。
これは市場原理と言える。 外国の新薬を早く使いたい病気によっては、外国で開発された薬剤を早く手に入れて治療したいという場合もある。
この場合には2つの問題があって、まず前述した人種差があるので、臨床試験を日本でもやらなければいけないということがある。 これを「ブリッジング・スタディ」と呼ぶ。
つまりアメリカのFDA(食品医薬品局)で、ある薬剤の認可が出たとする。 アメリカとほぼ並行して行うケースもあるが、普通はアメリカより少し遅れて日本でも新しい薬剤の認可を申請するということになるので、そこで少し時間的な差が出る。
さらに差が出るもうひとつの原因は、その薬剤が保険に認可されるまでの時間である。 臨床試験が終わって、製薬メーカーがデータを厚生労働省に提出して、厚生労働省が臨床試験の結果をみて認可した後で、それを保険に収戦し薬価を付ける。
データ提出から保険収救までの時間というのが1年半ぐらいかかる。 アメリカはこの時間が少し短いので、ここの差にも全く反する話だ。
たとえば高脂血症の薬剤にプラバスタチン(商品名M)という薬があるが、たくさん売れたからというので薬価を下げられた。 これはあくまで、薬剤代を費用と考えているからに他ならない。

ただ、もともとは薬価が決まり、保険に収載されていないとすべて自費で支払わねばならなかったのが、最近では薬剤のコストは自分で払わなければならない、つまり自費診療だけれど、薬剤以外の治療の部分は保険でみてくれるというシステム、後で詳しく述べる混合診療になった。 つまり、実質上は認可がおりれば薬剤を使用できるので、保険収載(薬価が決まる)までの時間的な差がなくなったといえる。
そういう形で国による差を短縮しないとどうなるか。 バイアグラの例でもわかるように、いまはグローバル時代なので、個人輸入で、あるいは患者の依頼によって医師が薬剤を外国から輸入するという形でどんどん使用できることになってしまう。
が、この場合、もしその薬剤で副作用が出たら誰がその責任をとるかという大きな問題が残る。 実際最近でも、肺がん治療のゲフィチニブ(同名I)という薬剤があるのだが、これを日本が世界に先駆けて承認した。
ところが副作用が多く、死亡例も出たということは、ニュースでご存じの方も多いだろう。 このように薬剤の認可の問題というのは微妙な問題を含んでいる。
逆に、日本が先に使える薬剤というのも当然ある。 さきほどまでは外国で開発された薬が日本ですぐ手に入らないかという話だったが、では、日本で開発された薬剤はすぐ手に入るかといったら、これは当然すぐ手に入る。
それは日本で最初から臨床試験をやっているから人種差を考慮しなくていいからだ。 その意味でも日本の製薬メーカーが力を持って、新しい薬剤をどんどん開発してくれることが重要だ。
ただ、ここでもひとつ問題があり、前述した臨床試験のスピードが日本はアメリカやヨーロッパと比べると非常に遅い。 逆に、試験にかかる費用は日本の方が高い。
したがって「臨床試験の空洞化」というが、日本の製薬メーカーは、アメリカで薬剤を開発するようになった。 そうすると、さきほどの人種の問題というのがまた出てきて、日本の薬剤だが、アメリカで開発しているから、結局また日本で最終的な人種差の試験をしなければいけないということになる。
とすると、日本に入るのが遅れてしまうという悪循環になり得る。 薬剤の研究開発費の負担を考えると、患者数の多い病気に使われる薬剤が開発のターゲットとなり、難病の方は患者数が少ないから、それだけ開発しにくいということになる。

いいかえれば完全に市場に任せてしまうと、難病治療ができないことになってしまう。 そういった薬剤をオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)という。
日本での基準は、対象患者数が本邦において5万人未満であること。 難病など重篤な疾病を対象とするとともに、特に医療上の必要性が高いもの、すなわち代替する適切な医薬品または治療方法がないと、あるいは既存の医薬品と比較して著しく高い有効性または安全性が期待されていること。
開発の可能性が高いこと。 すなわち、対象疾病に対して当該医薬品を使用する理論的根拠があるとともに開発計画の妥当性が高いことの3つである。
アメリカでは「国内の患者数が20万人未満、または、それ以上でも開発コストが販売から回収される見込みのない場合」を基準にしている。

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